ある怪談イベントのチケットサイトに、こんなレビューが投稿された。
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「とても臨場感がありました。特に最後の演目、演者が語っていた『背後に立つ女』の話は、本当に会場の後ろに誰かが立っているような気がして鳥肌が立ちました」
主催者はこのレビューを見て首をかしげた。その日の最後の演目は「背後に立つ女」ではなく、まったく別の話だったからだ。
過去の公演を調べてみても、「背後に立つ女」という演目は一度もやったことがない。
レビュー投稿者に連絡を取ろうとしたが、アカウントはすでに存在しなかった。
気になって、その日の公演の映像を確認した。客席の最後列、通路側の席に座った人物が映っている。ずっとうつむいている。開演から終演まで、一度も顔を上げていない。
来場者リストを確認した。その席のチケットは、売れていなかった。